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【映画感想文】ジュラシックワールド感想文2

前の記事では、過去作品と比較しながら、今作がいかにすばらしい王道の恐竜映画なのかってことを精一杯お伝えしました。後編となる本記事ではネタバレあり、もう少しストーリーの中身に踏み込んでみます。

 この記事からの続きです。

 

tomatojuicer222.hatenablog.com

 

本作を一言で表現するならこんな感じです。

 

「映像技術の進歩が生んだ、涙が出るほどのラプトル愛」

 

 表向きは超王道の恐竜パニック、なのですが、その裏にはたくさんのメッセージめいたものが見えます。わかりやすいとこでは、遺伝子組み換えへの批判とか、商業主義への批判っぽい文脈がたくさんでてきます。しかしこうもわかりやすく描かれると、どこまでがストーリーを展開するための主張で、どこからが本当に監督が伝えたい主張なのかはよくわかりません。わかりませんがこの辺の内容は、今作の製作が発表されてから随分揉めていたと記憶しています。

 

「恐竜映画として、どこまで遺伝子の改変を認めるか」という問題です。

 

 あまり知られていないのですが、本家「ジュラシックパーク」でも復元した恐竜の遺伝子は完全なものではなく、足りない部分はカエルから補ったと説明があります。あの恐竜たちは復活した恐竜そのままではなく、恐竜とカエルを混ぜた作り物なんですね。そして映画的にはその設定で大ヒットしたわけです。カエルとの混ぜ物は恐竜としてセーフだと世間に認められたのです。

 

 だとしたら一作目を超えなくてはいけない次の映画では、どこまで改変が許されるのでしょうか。もっとウケる映画にするために、Tレックスより強い生物をデザインしていいのか。今作の計画段階では、軍事目的で人間とラプトルのハイブリッド人造人間を作る、みたいなかなりぶっ飛んだ話まで噂になりました。さすがにこのシナリオは早々にとん挫したみたいですが。もっと派手で、もっと強くて大きくて「歯が多い」恐竜を登場させないと一作目を越えられないのでしょうか。まさに映画内ででパークが抱えていた悩み、そのまんまです。

 

 そういう意味で今作は、恐竜映画としてここまではギリギリ許される、という限界のラインを示したと言えそうです。そのラインがまた絶妙で、お見事としか言いようがない。確かにひどいインフレ恐竜が登場するのですが、ちゃんと恐竜映画として楽しめる範囲です。これ以上を求めるなら、それは日本の漫画やアニメでやればいいんです。ラプトルとのハイブリッド人間なんて、テラフォーマーズみたいだもんね。

 

***

 

 そしてここからやっとこの感想文の本題になるのですが、本作ではこのような強さのインフレ批判にはとどまらず、違った方向の新しい面白さを提案してくれています。恐竜って改変なんかしなくても、強くて、怖くて、ちょーカッコイイ、憧れだったはずでしょ。俺たちはラプトルが大好きだ!そんな声が聞こえてきそうな仕掛けが登場します。これはラプトルが好きすぎて、幸せすぎて涙が出てくるような愛の物語です。超ハートフルで、大げさじゃなく忠犬ハチ公並みに泣ける動物映画です。そしてその表現のためには、旧作ではおそらく描きたくても描けなかった、映像技術の進歩がありそうです。

 

思い出したら職場で記事書きながらボロボロ泣けて来たので次回「感想文3」に続きます。

 

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