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感想文 スターウォーズエピソード8 最後のジェダイ

スターウォーズエピソード8 最後のジェダイ
観てきました。最高でした。それはもうネタバレしか書いてないのでご注意を。

 


もう文句なしに最高なんだけど、感想を書くとなるとどうしても前作にあたるエビソード7 フォースの覚醒をディスらなくてははじまらない。
本当は、気に入ったものだけを書きたいんだけど、こればっかりは仕方がない。

 

 

ジェダイの強さを知ってるレイアがベンソロに期待し、そしてルークに期待してしまったのはわかる。
しかし反乱軍もFOも、あまりにもたった一人の隠居老人を重視しすぎなんですよ。ものすごい強い伝説のジェダイがいて、こいつを見つけた側の勝利が約束される!と言わんばかりです。

 

そもそもep7を監督したJJエイブラムスという人、LOSTやらフリンジやら、いわゆる海外ドラマの監督として超有名です。伏線を張っては引き延ばし、風呂敷を広げては畳まず、謎を解いては次の謎を呼び、とにかく終わらせず飽きさせずの技術がすさまじい。


そんな調子でep7という映画まるまる一本使って、大したオチもつけないまま「ルークスカイウォーカー」という大風呂敷を広げてしまった。

これは相応のでかい真相で畳まないと納得できないですよね。

 

この辺はまさに前作からの悪しき引継ぎで、今作でちゃんと面白く回収してくれるかってところはものすごく不安でした。

 

そして今作です。やってくれました。さすがライアンジョンソン(知らんけど)。JJ風呂敷芸を上手に畳んだというただ一点でもう大満足なのですが、それだけではありません。
単にJJの尻拭いに終わるのではなくて、あのイキリオタクだったカイロレンを、これからの時代を代表する新しいヴィラン像として覚醒するところまで、実にカッコよく見事に展開させてくれました。最高。


前作のアホみたいなイキリ父親殺しと対比すると、葛藤から解放に至るまでが実に丁寧に描かれ、特にきっかけとなったレイとの交流は本当に見事です。

 

もちろんツイッターで今作を叩く人の気持ちもわかります。旧3部世代ドンピシャの往年のファンからしたら、30年も待ってルークのこの扱いはそりゃふざけんなって話だろうと思う。こんなの俺の知ってるジェダイナイトじゃねぇ。わかります。

でもほらそれ全部JJのせいだから。伏線仕込んだのあいつだから。あんだけドヤ顔でもったいぶられたら、これくらいやらないと説明つかないから。

 


伝説とまで呼ばれた人は、やっぱり世間が簡単に引退なんかさせてくれないんですよね。
勝手に期待され、育てた弟子は強すぎて銀河のバランスを崩すわ、逃げたら逃げたで銀河中から追われるわ。説明責任を果たして、皆に納得してもらって初めて引退できるんですよ。

で、こうして語られたルーク隠遁の真相はぼくにとっては極めて納得がいくものでした。

 

 

ぼくはアミダラ世代の三部作のときから、ジェダイ評議会のシーンがすごく嫌いでした。前時代的でクソみたいな組織。奴らがいなければアナキンの闇落ちもなかったかもしれない。


ダークサイドを恐れるあまり、フォースの力を選ばれし者だけの秘密にしてきたのが評議会です。
フォースとは何か、ダークサイドとは何か。歴代のメンヘラ口下手おじさん達が極めて抽象的に伝承してきたこの課題を、ルークのレッスンを受けてたった3分でずばっと言語化(映像化?)する有望な若手が、今作の主人公レイです。ほんと魅力的に成長しましたね。


ジェダイ式の指導を受けてないから気軽にダークサイドを覗きに行っちゃったり、あろうことかカイロレンとも接触し、心を通わせる。この女マジでやべぇよ……というルークの気持ちはよくわかる。ルークが二人の接触を妨害したいのもよくわかる。でもそれこそがジェダイの傲慢なんですね。

 


単純な勧善懲悪ではなく、評議会が決めた正しい道ではなく、光も闇も自分で見たうえでの自己実現こそが尊いんだぜと。


レイに必要なのはジェダイの伝統や教え、血統ではなくて、自分を認め理解してくれる人でした。
それを成し遂げたのは皮肉なことに味方チームのメンバーではなく、カイロレンなんですよね。共闘シーン前後の展開超エモい。


「お前は何者でもない。だが今は違う。(=But not to me)」


誰もが(ベイダーやルークの)劣化コピーとしか見てくれなかったレン自身が言うこのセリフ、思い返す度に震えますね。だれかレンに言ってあげようぜ。

 

レンも含めた全てを救おうとするレイと、敵も味方もなく全てをリセットするレン。
結果として進む道は違えど、どちらもめちゃくちゃカッコよくて、新しいヒーロー像でした。この二人のおかげで今後十年は退屈せずに済みそうです。