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感想文 スパイダーマンホームカミング

あと何回、この気持ちを繰り返すのだろう。

 

今回もネタバレ満載なのでご注意を。

 

予習もそこそこに見てきました。ストーリーとしては、アヴェンジャーズシリーズという長ーいお話のほんの1エピソードなんですよ。順番で言うとシビルウォーの続きになるんですかね。まぁそこは後半に書くとして。

 

正直消化不良でございます。

 

僕、これめちゃくちゃ期待してIMAX3Dで観たんですよ。それはなんと言っても一つ前のシリーズ、マークウェブ版の「アメイジングスパイダーマン」の功績です。あれは良いものでした。

 

アメイジングの功績】
スパイダーマンといえば、お馴染み蜘蛛の糸を使ったスパイダーアクションです。ビルとビルの合間を縫う振り子ムーブメントッ!

アメイジングでは、そこにIMAX3Dの没入感が見事にマッチして、はっきりと映画の新時代を感じました。ちょこちょこ出ては期待はずれだった3D映画が、あれでやっと3Dでいる意味を持ちました。近い将来メジャーなエンタメになるであろうVRにも期待せざるを得ない、全く新しい映像体験でした。

視覚の枠を超えて、単なる映画ではなく一つのアトラクションとして完成されていたんですね。

 

ストーリーもまた素晴らしかった。誰もが何かを失った悲しみを抱え、彷徨って、乗り越えていく。そんな文脈を何回も何回もなぞりながら、ピーターパーカーは一番大事なものを失って、やっぱりなんとかもがきながら、前に進むんですよ。泣けますね。

 

映像体験としても、ストーリーも文句なしに完璧で、もうね、マークウェブ天才かよと。

そんな前シリーズ。高っっっかいハードルがあった上での、今作です。

 


【ホームカミング感想、映像編】
ストーリー上仕方ないとは思うんですよ。今回、アイアンマンの人にアヴェンジャーズ入団を認めてもらえないピーターパーカー少年の物語なんです。

未熟で、お調子者で、戦い慣れていなくて、子供なんです。だから爽快なアクションなんかとんでもない。マンハッタンのビル街を飛び回る事は一切ありません。一軒家が並ぶ郊外の屋根の上を、傷だらけになりながら走り回るんです。

ほんと、どこがスパイダーやねんと。IMAXじゃなくても、3Dじゃなくても良かったわーと言うのが正直なところ。

 

マーベル作品とは違いますが、スーパーマンバットマンも、それからスターウォーズも、僕らが子供の頃から何度も新作が発表されてきました。その度に期待して、夢中になって、時には裏切られたりしました。

今回もまたその感じです。

いつも手放しで喜べるわけではなくて、最高だった前シリーズと比べてしまって、少しだけ残念な気持ちになる時があるんです。
もうこれはおじさん特有の、気に入らないなら黙ってればいいのに……と言うやつですね。僕もそんな老害の一端になってしまった訳です。うむ、歳を感じますね。

 

【ホームカミング感想、ストーリー編】
その反面、ストーリーには希望を感じました。

 

平凡な、テンプレ通りのスパイダーマン。オタク高校生の青春と、スパイダー活動の二重生活という何度も見てきたやつです。毎度恒例の「お前が敵かよ?!」サプライズこそありますが、メインのストーリーとしてはまぁいつも通りです。

 

しかしこれがアヴェンジャーズシリーズの一端となると全く別の意味を持ちます。今後の展開次第ですが、大いに可能性を感じるラストシーンになっていました。

 

ちょっと追記。

よく考えたらラストだけじゃないですね。ほぼ全編に渡って、ひたすらトニースタークとの関係を描いています。これまでのスパイダーマンで必ず説明されてきた、蜘蛛に噛まれるくだりとか、おじさんのくだりとか、先に書いた通りスパイダーアクションすらも一切すっ飛ばして、映画として使える尺の全てを、丸ごとアイアンマンの人との関係につぎ込んでます。

 

ほんとこの世界は、良くも悪くも「アイアンマンと愉快な仲間たち」なんですよね。

 

ピーターパーカーにとって、アイアンマンは憧れのヒーローです。自らがマスクをつけて戦うようになっても、相変わらず憧れのままなんですよ。そして1度は決別し、スーツを脱いで、それでも戦わなくちゃいけない時が来るんですよね。アイアンマンの真似っ子じゃなく、自分の意思で。

 

そうやって憧れの人を超えて、自身がヒーローになっていくんですね。ここの成長が一番の見せ場と思えば、先に書いた3D向けじゃない道中の映像表現も、納得できるものではあります。(こうやってヒューマンドラマ軸でやるなら、始めっから2D公開にしてくれ!とは今でも思ってますが。)

 

【ホームカミング感想、結末ネタバレとまとめ】
今回の戦い、アヴェンジャーズが、そしてスターク社が生み出してしまった敵です。戦いを通じて、最終的にアヴェンジャーズ入りを認められたスパイダーマン。しかし1回り成長したピーターの答えは、アヴェンジャーズには入らず'working class heroとしてやっていく'というものでした。

 

これは熱いですね。

 

アヴェンジャーズの面々は、これまでのシリーズを通じて散々悩まされてきた、重大な問題点を抱えています。シリーズを追ってる皆様には、ソコヴィア協定と言えば伝わるでしょうか。

 

 シビルウォーでも散々言及されてきましたが、アヴェンジャーズって今ある政府、体制、金持ち、なんというか持てるモノのためのヒーローなんですよ。ミスター愛国心とミスター資本主義の二大巨塔が率いてきたわけですから。で、シビルウォーではそこの問題がこじれて、リーダー格2人が決別する事になったんでしたね。

 

スパイダーマンは、今回の敵を通じて、アヴェンジャーズとは違う自分の進むべき道を見つけたんですね。この先この辺の問題を解決する上での、アイアンマン、キャプテンに続くもう一つのキーになってくれるかも知れません。今後の展開という意味では最高に盛り上がるきっかけになりそうな、そんな予感があります。

 

冒頭のIMAX3Dの映像あるじゃないですか。「WATCH A MOVIE OR BE PART OF ONE」てやつ。今回正直あそこが一番盛り上がりました。冗談でも何でもなく、作った側もそれは分かっているみたいで、最後なんてスタッフロールのあとにキャプテン直々の謝罪までありますからね。どうか今作はこの「下積み感満載のスパイディ」で耐えてくれと。彼の本当の活躍はこれからだと。ちゃんと面白くなるから待っててくれと。そんなメッセージに見えました。あれはサプライズとしてちょっと大分面白かったです。

キャプテンの言う通り、今後に期待して、最高に熱い手のひら返しの準備をして、待ちましょう。