ASCASO社のエスプレッソマシンのマニュアル和訳したり、映画の感想文、たまに恋愛相談。

tomatojuicer222's diary

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感想文 ミッドサマー

いやーすごかった。好みはともかく完全に傑作。

 

ホラー映画の新しい風

劇場公開時に大いに話題になり、アマプラ追加でも話題になりましたミッドサマー。この記事はルーン文字を解読した深い考察サイトとかではないんですけど、どのくらい怖いの?私にも観れる?どういうところが新しいの?なんで癒されてる人がたくさんいるの?そんな疑問にお答えします。

ネタバレなしあらすじ

わけあって落ち込みがちな彼女に、彼氏が用意したサプライズ。豊かな緑と花々に囲まれた北欧の村で、温かな村人たちのお祭りに参加するわけですね。長いようで短い9日間を抜けた先に、新しい私と出会う。ハートフルインスタ映えムービー。

 

異質すぎるホラー映画、ここからネタバレあり

TRICKで育った我々にとっては逆に自然な異質ホラー、怖さの質も似てます

TRICKで育った日本の我々はもう分かっちゃうわけですよ。サクッとネタバレを言ってしまうとつまり村の外の人間が、生贄として連れてこられた構図です。ベタですねー。

しかしベタで終わらないのがこの映画の凄いところ。狂気の村人から逃げろ!とか祭りに乗じた殺人鬼を探せ!とか、そういうミッションが一切発生しないんですよ。なぜなら現代は多様性の時代だから。殺しの風習も含めて、この村の文化なんだから尊重しようぜと。

こうして文章にすると信じられんめちゃくちゃ強引なんだけど、観ていて自然に受け入れられてしまう構成はお見事。むしろゆるゆるジワジワと戻れない所に連れていかれる展開にはリアリティすら感じます。

どれくらい怖い?私にも観れる?

遺体の描写とか結構直接的なんですけど、意外と血は少なめ。ホラー苦手でもギリギリ観れる人は多いんじゃないかなと思います。超常的な怖さじゃなくて、人間の社会的な怖さ、異文化に触れた時の居心地の悪さを最大化したような怖さです。

キーワードは文化、風習、信仰、そして共感、幸福、居場所。令和の「アップデートされた」価値観で感じるホラー

さて、ホラー映画お決まりの逃げたり隠れたり反撃したりがないとなると、このクソ長い映画は空いた時間で一体何をするのでしょう。

そこには共感とは何か、居場所とは何か、幸福とは何か、そんなホラー映画らしからぬ普遍的なテーマが詰め込まれています。だからこの映画はセラピーなんですよね。メンをヘラらせてラリパッパしながら、みんなで笑ってみんなで泣いて、そして全てが終わってスッキリすると、ほんの少しだけ前を向ける。そんな映画です。オススメはしない(褒めてる)

アリアスター節全開、前作が好きなら間違いなく楽しめます

このアリアスターという監督、前作ヘレデタリーでもやってるんですよね。あっちはがっつり悪魔を召喚するので超常的怖さもあるんですけど。でも根源的には異なる信仰、文化に対する、我々の常識の通じなさみたいなところを描いているのは共通しているのかなと。結末も広めに抽象化すれば似たような感じです。

あれだけ異質で怖かった文化にも、そこで信仰される側として持ち上げられるとうっかり取り込まれてしまうよね。ある意味「転生してみたら強かった」系のストーリーと近い心理なんでしょうかね。怖さから異文化への理解につなげる流れが洗練されています。

なのでヘレデタリー後半、オチに向かって謎が解けていく流れに納得感を得られた人にはミッドサマーもかなりオススメです。

 

あとあと、少しでも気になる人はちゃんとした音響で観るのがオススメです。ラリパッパなトリップ感ありきの映画だと思うので。ホラーとしては血少なめ、その代わり断面がハッキリ見えるのでそこは要注意だ!

 

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