感想文 アナと雪の女王2が超マジカルで超レリゴー
僕前作がめっちゃ好きだったんですよ。21世紀の新しいプリンセス像に踏み込んだ良作だった。今回も相応に期待つつ、ハードル上げすぎかな?という気持ちもあり。しかし蓋を開けてみれば期待を大幅に超える大傑作ですよ。最高。
まずはキャラ紹介
クリストフ
こいつがヒロイン、嫁、かわいい、ディズニー初の男性プリンセス、こいつには幸せになって欲しいです。
出オチ感〜。これが言いたかっただけであとはみなさん知ってるキャラです。
主題歌into the unknown。
この扱いがめっちゃかっこいい。
ストーリーのきっかけとなる、騒動の前兆を感じたエルサの不安の歌。(アナや国民とうまいことやっている)平穏を脅かさないで、なんでunknownに連れ出そうとすんのよ、というような意味の歌なんですよね。
こんな不穏な歌がメインテーマなの謎すぎるなと。
しかしよく考えて欲しい。
彼女は6年前にレリゴーしてしまった人間です。
ハッピーエンドを迎えながらも、国民と暮らすために再び力を抑えていたnotレリゴーな生き方。曲が進むにつれて自分の力を思い出していきます。
むしろそっち側に生きるべきなのでは?いっそ私を連れて行ってと、開き直った笑顔に変貌していくんですね。前作で上映時間の半分を使って丁寧に描かれたレリゴーまでの過程をこの一曲の中で追体験させる仕掛け。
ここから先の本編で冒険するのは無難に聞き分けのいい姉ではなく、レリゴーした後のエルサですよと。そんなめんどくさい説明をたった1曲の、1番と2番の間で表現する、まさに成長したエルサのための曲なので超かっこいい。CMと劇中で大違いですよ。
敵がヤバい相手だと分かりながらもわくわく歌い出しちゃう、困難なシーンほど笑みを見せるエルサにはほんの少しのサイコパスみがあって、いい意味で全くディズニープリンセスらしくなく、ジャンプヒーローのようです。
今回ストーリー上、エルサの魔法の根源が明示されます。僕が知ってるこれまでのディズニー映画の魔法使いは生まれついての魔法使いで、魔法を使える理由なんて描かれたことはないんじゃないですかね?そこに解答のようなものを示していて凄いんですよ。
そしてアナ。
人間離れしたサイコパスみを出してきたエルサに対して、アナの戦い方はめちゃくちゃ人間です。すごかった。魔法を持たない人間がどうやって困難に立ち向かうのかというと、歌うんですよ。
彼女たちを冒険に連れ出すのも、道を示すのも、絶望して立ち止まってしまった時に背中を押すのも、思えばみんな歌なんですよ。姉妹が子供の頃から聞かされてきた歌ですね。そういえばこれはミュージカル映画で、そしてアナ雪に限らずディズニーはみんなそうだよな、ディズニーランドに行っても、いつも誰かが歌ってるよな。歌は力で力こそパワー。
この辺が説明臭くならずに、ちゃんとエンタメに落とし込まれていて本当に素晴らしい。
二人の強さの根源と成長をしっかり描いたからこそのハッピーエンドもよかった。超レリゴーな結末にツイッターは阿鼻叫喚ですが。
これをさー、誰もが気持ち良い万人受けするハッピーエンドにもできたと思うんですよ。逆に同じ結末でも、苦渋の決断みたいなトゲを残す書き方もできたはず。けれどそうではなく、これが現代ディズニーのハッピーエンドやぞ!!!!という鉄の意思を感じました。
これをハッピーと認識するためには道中が駄作では成り立たないんですよ。そう思えるに至った彼女達の心の動き、成長と覚悟を丁寧に示したからこそ、これしかなかったと言いきれる最高の締め方。
このブログではいつも言っているけれど、出来事じゃなくて人間を描くというのが正にこういう事だぞという。
ディズニー、割とわかりやすい万人受けエンドに持っていきがちな中、この結末を上層部に通した制作陣やばいなと思いました。
今年イチだし歴代ディズニーイチの名作。ごちそうさまでした。