ASCASO社のエスプレッソマシンのマニュアル和訳したり、映画の感想文、たまに恋愛相談。

tomatojuicer222's diary

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お題 住みたい街、住みたかった街

自転車に乗りながら、青空にうっすら映える都庁あたりの高層ビル群を遠目に眺める。都会の人並みからすっかり切り離された僕だけが知る東京、山手通り。

 

大学2年、夏休みが明けたら学部の専門科目が本格化するという時期に一人暮らしを始めた。憧れの街池袋。の、喧騒からほんの少しはずれた、明治通り目白通りが交わるあたり。今で言う副都心線が当時はまだ建設中で、その雑司ヶ谷駅の真上あたり。

 

大学の後は池袋を飲み歩き、休日は自転車で明治通りを駆け渋谷にでかける。そんな毎日を2年ほど遊び尽くして都会のペースにも慣れてきた頃、自然と目白側、少し静かな方面に足を伸ばすようになった。

 

夜中のジョギングコースを目白通りに変えた。雑司ヶ谷から目白、落合を越え、長崎に差し掛かる。それが山手通りとの最初の出会い。

その頃から自転車での「遠征」(といっても新宿渋谷の店を巡るだけだが)も明治通りではなく、山手通りまで出るようになった。初めは大した理由なんてなかったと思う。車が少なくて走りやすいとかそんな程度。

 

そして冒頭の景色に出会うのだ。静かで爽やかな秋風の吹く日。道路はしっかり舗装されていて、ここは確かに都会なんだけど、この視界に数百万人が働いているなんて。ほんの1本隣に、あの明治通りの喧騒が広がるなんて。とても想像がつかないような、静かで落ち着いた大人の東京を発見したのだ。

 

みんなの知らない東京の裏側をちょっとだけ見つけ、心が躍る。同時に、賑やかな街への憧れだけで動く、田舎の坊ちゃんだったなと思う。あぁこの街で生きていくんだなと、ほんの少しだけ東京に馴染んだんだなと、ここが自分の街だと、この日初めて受け入れられたような気がした。

 

その後卒業やら転職やらで何度かの引越しをして、今では都民ですらなくなったけれど、やっぱり1番好きな街です。あの日の山手通り沿いには、街路樹を植える寄付をして、名前入りのオリーブの木を植えてもらってます。

書籍化記念! SUUMOタウン特別お題キャンペーン #住みたい街、住みたかった街

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by リクルート住まいカンパニー