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tomatojuicer222's diary

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セブン感想文

映像の力、演技の力

 

随分前の傑作というイメージです。当時イロモノ扱いだった監督も、ここからヒット作を連発して、今や超一流の仲間入りしましたね。

「後味悪い」という点だけめちゃくちゃ有名ですが、決定的なネタバレに会う事もなく今までスルーしてきました。そしてついに見れました。


これねー、噂に違わぬ名作、いやそんなどころじゃない完璧な傑作ですよ。そしてそれを支えるのは映像であり、演技であり、脚本であり、まさに「ザ・映画の力」って感じです。

 

 

メインのストーリーだけ見るとね、「刑事モノ残酷描写風味のどんでん返しソースで」という、いくらでもありそうな内容です。

 

ところがこの映画が傑作なのは、肝心のどんでん返しオチが読めちゃうんですよ。それも結構早い段階で。

 

そしてそれは、映画全編にわたる陰鬱な雰囲気、対照的にスタイリッシュな映像、そして各々が抱えた闇を見事に体現する役者陣。これらの、いわば"映画だからこそ"の要素が全てがぴったりとハマった結果です。

 

これらのおかげでかなり前半から、罠の中を歩かされるような、いや〜な予感めいたものとして、オチに向かう空気が漂います。そしてその予感は話が進むにつれて確信に変わっていくのです。もう後半30分の、分かってるけど目を離せないvs目の背けたさといったらまるでホラー映画です!

 

なんか、観客まで犯人の術中にハマって、そこに向かって誘導されているような感覚です。結果として僕の中では「どんでん返しモノなのに、オチが読めるからこそ最高」という超不思議な感想になりました。一般的にはこれは伏線回収と呼ぶのか?なんか自分の中ではちょっと違って、「そうあるべきところに収まった」というしっくり感。


個人的には主人公の●●で出ている●●には特にめちゃくちゃ惹かれました。出演シーンは少ないんだけど、この役がこの人じゃなかったらこんな傑作にはなってないだろうなと。あと犯人があの人なのも面白いですよね。たまたま前日に見た映画にも出ていて、運命感じちゃいました。どんでん返しモノのはしりと言われる例のあれです。

 

 


そして今更ですがこれらの配役、脚本、演出といった小説には描けない部分、"映画ならでは"の部分って、やっぱりそれは監督の仕事なんですよね。1発で大ファンになりました。他の作品も是非見なくては。

デビッドフィンチャーと言えばとっくに超一流の大御所なので、ほんと今更「ワシゃ〜セブンの頃から見抜いていたぞい」みたいに言うのはほんと恐縮なんですけど。