ASCASO社のエスプレッソマシンについてマニュアル和訳を勝手に進めています

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【映画感想文】「君の名は。」入れ替わりシステムの考察

システム開発目線で入れ替わりシステムについて検証していきます。自分用のネタなのでやや強引な推察もありますがご勘弁を。

 前記事からの続きになります。

 

tomatojuicer222.hatenablog.com

 

宮水の祖先は入れ替わりの能力を「組紐」と「口噛み酒」という二つの技術に分割して継承してきました。この能力について考えてみます。

 

・紐の機能はターゲットの指定

入れ替わり相手とは同じ紐に対する所有権を共有する必要がありそうです。必然的に入れ替わりには数年(最長は人の寿命?)〜1日(最短は日が沈む=日を跨ぐ瞬間?)規模の時間移動が発生します。

✳︎このタイムラグ範囲については後述の酒の項もご参照ください。

 

ここがポイントで、「時間の巻き戻りがある」=「入れ替わり先で隕石を事前に察知できる」という仕組みになっています。入れ替わりとはタイムリープが標準仕様として組み込こまれた「対隕石専用の事前警報システム」であると言えます。このシステムの基本設計を担当したご先祖様は、さぞかし優秀なSEだったのでしょう。

 

・三葉の役目

三葉の巫女としての任務は、入れ替わり先でパンケーキを楽しむ事ではありません。タイムラグを利用して隕石を知り、糸守に伝える事だったハズで、ところがそれは失敗に終わります。タイムラグが隕石から三年と比較的長めで、災害の記憶は当事者以外からは薄れていたためです。三葉の(瀧くんの)行動範囲で災害に偶然触れる事はありませんでした。現実に当てはめて考えても、東京で暮らしていて過去の災害を意識する場面って、命日に黙祷とたまの特番を見るくらいです。

 

・失われた古文書

さて、入れ替わり先で偶然目に触れないと隕石を察知できない、というのは予知システムとして痛恨のエラーであります。これはシステムの設計ミスなどでは決してありません。能力の説明書である古文書が昔の火事で焼けてしまったのが問題なのです。おそらく能力の使い道や正確な任務が古文書に描かれていたのではないかと思われます。

入れ替わりでは、本体に戻ればすぐに忘れてしまうほどのあやふやな記憶しか保持できません。その程度でも、隕石のことが古文書に説明してあった上での「時期を知る」程度なら警報装置として十分使い物になったかと思われます。おばあちゃんの昔話程度に語られる古文書消失ではありますが、実は物語の最重要事項である説明書を失う、かなり重大な損失だったのです。

仕様書のメンテはしっかりやろうなと言われているようです。大変耳が痛いですね。

 

・三年のタイムラグ

仕様書消失に加えてもう一つの致命的なミス、警報装置としては大きすぎた「三年」というタイムラグはどうやって設定されたのでしょう。

 

電車のない時代、徒歩で生活できる行動範囲の中で出会い、糸を託し、入れ替わりが起こっていたと思われます。せいぜい隣町のイケメンとかね。

この場合、三年前の災害の記憶はかなりのインパクトで入れ替わり先の未来にも影響しているはずです。徒歩圏内であれば、荒れ果てた町を「入れ替わり先で直に」目にする事になるからです。

 

生活環境が発展し、電車に乗って東京まで出向かないと会えないような相手を選んだから、システムの想定を超えてしまったのではないだろうかと思います。

営業の方、現代日本の社会に適合した新システム導入を強く勧めるべきですどうぞ。

 

冗談はともかく、三年後の瀧くん側に何か入れ替えOKを指定する兆候があったとも思えません。三年というラグ期間は全くの偶然だったのか、それともシステムのデフォルト値なのか。そこは劇中で示されることはありませんでしたが、この記事では一応の仮説を記事の後半に書いておきます。

 

・救済

三葉主体の入れ替えで失敗した隕石予知ではありますが、現代の東京っ子も三年間すっかり忘れっぱなしというほど希薄ではありません。現実に考えても年に一度の追悼はやるし、劇中でも「郷愁」と名がついた写真展を間接的なきっかけとして隕石を知る事になります。普段目にしないだけで、災害の記憶は残っているのですね。このあたりのリアリティは皆納得のいくところかと思います。

 

結果として、予知システム側からしたらイレギュラーな事態ではありますが、入れ替わり先の一般人(=瀧くん)からの知らせによって、隕石予知に成功する事になりました。

 

ここで重要なのが、宮水の巫女でもない瀧くんがどうやって入れ替わりを起こしたのかという事。紐のほかにもう一つのキーアイテム、酒に注目していきます。

 

・参拝の機能は能力の継承

前記事にも書きましたが、あの能力に宮水家の遺伝子は関係なさそうです。御神体に酒を奉納する事が重要。だとすれば瀧くんは入れ替わり中に三葉の中の人として奉納を経験しているため、入れ替えシステムの起動アカウントとして問題はないですね。

 

奉納が起動アカウントの登録とした場合、酒は何か。ここでもう一つの仮説が成り立ちます。

 

 

・(仮説)酒の機能は入れ替わり先とのタイムラグ指定

三葉の場合

口噛みの儀式→発酵(約三年で完成)→タイムラグ三年

 

瀧の場合

御神体のとこで飲む→酒は発酵済み(リアルタイム)→ラグなし

 

「口をつけた瞬間から酒が完成するまでの期間」がそのまま入れ替え先とのタイムラグになっているという仮説です。いかがでしょう。

 

3年経過後も発酵が進む場合、入れ替わり先の三葉は死んでいるため瀧くん側からの入れ替えは失敗していたかもしれません。しかし一定のアルコール度数で発酵がストップする事を考えれば、三年前のあの日で入れ替え時期が固定されたと考えても矛盾はありません。

 

追記

入れ替わりの能力を技術として分割するにあたって、酒は体、紐は精神(またはムスビそのもの)を象徴している。だから「この酒は三葉の半分」。入れ替わり元の体を指定できる?

うーんもう少しなんか整理できそう。酒飲んだ瞬間に三葉の死の瞬間に立ち会ったのもなぞ。単にタイムリープの描写なのか、もっと酒の機能の本質に関わるヒントなのか。

 

 

 自分の酒を自分で飲んだ場合(二回口をつける→入れ替わり時期の指定不可)

すでに入れ替わり中の人が飲んだ場合(これも二回口をつけることになる?)

紐の関係にない人が飲んだ場合(紐を共有していない→相手の指定不可)

例えばスピンオフや続編などで、このように上記の仮説から見てイレギュラーなパターンが描かれれば、そこで起こった事象からもう少し何かがわかるかもしれません。

 

追記

スピンオフ小説の四葉のストーリーで、自分の酒をのみ、かつ紐を共有していない相手と入れ替わるパターンが描かれていました。自分の酒を飲むことはシステム的にも想定していないようで「そんなことをしたらどこの誰とムスビつくかわからん」というようなお説教をくらってしまいます。結果としては「自分の酒を飲むようなことはイレギュラーな事態である」とお墨付きをいただきました。上記の仮説とも矛盾ありません。

 

入れ替わりの能力は

・紐の所有権で相手を指定

・酒に口をつけてからの熟成期間で時期を指定

多少強引な解釈ではありますが、これでタイムラグ三年の秘密を説明することはできました。

新システムでは発酵漕の温度管理機能をつけることで、任意の入れ替えタイミングにコントロールできる様にすれば、現代日本の生活環境にも対応可能なシステムとなるのではないでしょうか。次期システムを是非ご検討ください。

 

あと、酒の発酵と記憶の定着も多少リンクしているかもしれません。完全に発酵が終わると、記憶もデータも完全消去される感じで。だから映画前半では多少なりとも記憶を保持できていたけれど、ラグなしの入れ替わりに成功したあとはほぼ完全に記憶の維持ができなくなっているというわけです。

 

ともかくここまでで、瀧くん側からシステムを起動し、町を救うところまではある程度の説明がついた事になります。しかしこのままでは、町は救えるものの2人は出会うことができませんね。

 

・出会いの方法

前述の通り、紐の所有権が入れ替わり先をターゲッティングする仕様では、タイムラグがあるため2人がリアルタイムに会うことはありえません。

 

ただし、「紐の受け渡し」の瞬間に限り、所有権が重なるため、理論上は同期可能となります。

 

前述の通りまる1日入れ替わるタイムリープ仕様の制限も受けるので、受け渡し可能なのは黄昏時(つまり本体の1日が終わり、入れ替わり先の1日が始まる=昼でもなく夜でもない誤差範囲)数分間のみとなります。これがクレーター縁での再会シーン。

 

緻密な計算のなせる技ですね。安定稼働とは決して言い難いですが、いざという時のバックドアとしてお見事な作りです。

 

ちなみに三年前の紐受け渡しについては、実際に三葉が東京に出向いており、現実の時間軸で3歳年下の男に紐を渡すためその様な制限はなさそう。

ただし象徴としてやっぱり黄昏時だし、電車というギミックで同じ様にタイムリミットを突きつけられてしまう。しつこい位に何度も繰り返し描かれた引き戸の映像が思い出されます。このもどかしい演出たまらなく良いですね。

 

・愛

入れ替わりをするためには、自分と、未来の相手が紐を共有しないといけません。これはタイムリープものによくある矛盾ですね。これを解決する力ってなんなんですかね。

愛ですかね。

きっかけとしてはやっぱり「来世では東京のイケメンに」ですかね。イケメンに生まれ変わりたい一心で瀧くんが選ばれ、恋をして、会いに行き、三年の矛盾を解消してくれます。

三葉は奥寺先輩とのデートをきっかけに自分の恋心に気づいた様にも見えますが(ホントか?→追記あり)、瀧くんはその奥寺先輩に指摘されて気づいたんですかね?それともあれは指摘されても気づいてないんですかね?男って鈍いですね!

 

まじめに追記。

いつから好きになったか明示されない事が、ネット上では結構突っ込まれてるみたいです。でも考えてみてください。起きれば記憶は曖昧。入れ替われば本人の中にいる。こんな状況で好きになるわけがないと思いますし、同時に好きにならないわけがないとも思います。ただ確かなのは、本人同士が気づくのは無理という事です。そこをくっつけてくれるのは、すべて見透かした様な"ウワテな"お姉さんしかありえない。

三葉が東京に行ったのは恋心というより、二人のデートがどんな感じか気になるとか、せいぜい彼女持ちになる前に一度くらい会ってみたいな、程度の感覚だと思います。瀧くん側は先輩から指摘された→話を聞いてほしいと思った→入れ替わりが急に途絶えて気になってきたです。わかりやすくきっかけになる事件があって恋に落ちる瞬間があって、という事ではないんです。だから当然明示されない。

ずっと続いてた交換日記が途絶えたから、時間差でじわじわ気になっちゃった感じで、クレーター淵の再会時点で、好きになってたのは瀧くん側。だから手に書いた「すきだ」も瀧くんから。なんなら最後まで三葉→瀧は恋心じゃないような気すらします。「大事な人、忘れたくない人、忘れちゃダメな人」です。好きな人なんて言わないんですね。恋愛映画と見せかけて、最後の最後まで恋心は確定してないんですね。とはいえ、もうほぼ恋でいいとは思うけどね。だからラストの階段のシーンが最高なんです。

 追記の追記

思えば初めから三葉は先輩のスカートを刺繍しちゃうようなおせっかいさんだし、瀧くんは弱いくせに理不尽に立ち向かってしまう正義感がある。

それぞれ"そーゆー性格だから"会いに行ったり救おうとした。決して"好きな相手だから"行動したわけではない。

 

まとめに代えて

あとあと、最後の階段のシーンはあれでいいんですよ。お互い認識できて当たり前です。入れ替わりの記憶が消えてるなんて関係ありません。2人は8年前に現実で会ってるんですから良いんです。いろいろあって告白して返事は保留中、でもまぁほぼ両想い確定。

こんなイージーモードな状況で(記憶がリセットされてるから)一目惚れからやり直しです。こんな楽しいことありますか。いいな〜。素敵だな〜。憧れちゃうな〜。