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tomatojuicer222's diary

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【映画感想文】映画「君の名は。」を観た

100てん!

 

 

甘くちと噂のとまぴの映画批評ですが、今回も例に漏れず超名作です。

 

巷で言われている様な、青春、恋愛、リア充カップルみたいなキーワードは個人的にはほとんど当たりませんでした。ちょっと掠るくらい。綺麗な映像と素敵なお話でオブラートに包んだ、ソフトオカルト哲学フィクションという感じ。

 

例えるならクリストファーノーランの難解SFを、そのまんま日本アニメに再構築した感じです。神とは何か、信仰とは何か、血縁とは、愛とは。そんな頭を抱えてしまうテーマのオンパレードです。

 

 

私の大好きな宇宙モノSFで言うと「インターステラー」での愛は、次の世代に期待し、育て託す事でしたし、「オデッセイ」での愛はもっと身近に、生物無生物問わず微笑みかけたくなる様な愛着が描かれました。

これらの洋画ではいずれも、キリスト教の価値観を強く示唆した上で、神って結局これなんじゃないの?愛って結局こういう事でしょ?と示されます。

 

では日本のよくある風景の、田舎娘の、東京の都会っ子にとっての、神とは、愛とはなんでしょう?

 

こんなクソ眠たくなる様なテーマが、うっかりすると見逃してしまう気持ち良いテンポでポンポン出てきて、ちゃんと答えを提示して終わるんだから日本のアニメってめちゃくちゃすごいなと思います。

そりゃもうとんでもなく面白かったです。難しい事抜きに無心で観て楽しめるお話になってる所も良いですし、深読みすればどこまででも考察できてしまうのも良いです。そういう作品って邦画であんまり出会った事ないのですが、シンゴジラに続いての連発なので、今年はとても楽しいですね。繰り返し観たくなるのもわかります。

 

数多くのネタバレ考察を書いたウェブサイトが出ていますが「神とは愛とは何か」というテーマで観ると、一つ皆さんと違う解釈ができます。

 

以下(今更ですが)あらすじ含む直接的ネタバレか続きます。

 

宮水の巫女が入れ替わりを使える、つまりあれは遺伝によって受け継ぐ様なタイプの能力なのでしょうか?そうではないと思うのです。確かに一葉、母親(二葉?)、三葉それぞれが入れ替わりを経験しているらしく、遺伝と誤解させる仕掛けになっています。

 

しかしそれでは、物語後半に瀧くん側からの入れ替わりに成功した説明がつきません。酒を飲んだから、ではお粗末すぎます。

 

答えはおそらく御神体にあります。遺伝ではなく、しきたりとして御神体に祈りを捧げるから、宮水の女性は能力を持つのです。瀧くんも入れ替わった時に酒を奉納し祈りを捧げたから、土壇場に同じ能力を使う事ができたのです。

 

あの御神体はなんなんでしょう? あれを作ったのは遠い宮水の祖先で間違いないでしょう。壁画があった事から、言葉を持たない様な遥か昔からあの地域は隕石の被害に遭っていて、宮水は信仰としてそれを残していました。

この映画にとって

神=子孫を守ろうとする先祖の意思(追記あり)

信仰=隕石を忘れない世代間伝言ゲーム

 

です。冒頭で古文書が火事で焼けてしまった話が出て来たように、長い年月が経てば「隕石がおちる」という情報の精度は失われてゆきますが、相反する様に不思議な能力を帯びてきたと思われます。

日本中どこの地域でも(豊作を祈るとか洪水を防ぐとかの規模ですが)ある様なちょっとした地域の信仰が、入れ替わりの能力として具現化したわけです。ここがこの映画唯一オカルト要素であり、フィクションの部分ですね。ご先祖様は糸と酒という二つの技術によって能力を継承できるようにし、守ってきたわけです。

 

追記

先祖は直接的に隕石のことを伝えるのではなく、ムスビという概念を神として伝えてきたようです。映画ではかなり大雑把なセリフになっていましたが、スピンオフ小説の四葉のストーリーを読むとかなりしっかり説明されていました。箒星とムスビの関係についてもかなり直接的に説明がなされているので、この辺気になる方は読んでおくべきかと思います。

 

具体的な能力については後日もう一個記事にしようと思います。→書きました

 

tomatojuicer222.hatenablog.com

 

決してご都合主義のトンデモ展開が起こったわけではなく、信仰のしきたりを守ったから能力が発現したのです。

 

"こともあろうに!・・・・・・

 

このジョースターの末裔(まつえい)が・・・・・・・・

 

『我が・・・・・・・・止まった時の世界に・・・・・・・・・・』

 

入門してくるとは・・・・・・・・・・!!

"

何故かこのセリフを思い出しますね。

 

愛については信仰というテーマからは一歩優先度は下がって、糸を託す相手という感じですかね?やっぱり恋愛要素ははきっかけに過ぎず、乱暴に言えば「誰でもよかっ(以下略)」。

ただしここも本当に誰でもいいかというとそうではなくて、能力の検証記事にちょろっと書いています。

 

でもでも、恋愛物としても恥ずかしい感じになり過ぎず気持ちよく観れてすごく良かったです。「とまぴにはピュア過ぎて合わないんじゃないか」などと先に見た友人に言われましたが、そんな事はありません。ピュアピュアですから。超楽しめました。

 

100てん!